カフェ勉

カフェで勉強してる若者


ノートの鮮やかな色彩


無駄にかっこいいシャープペンシル


おそらく4万越えのオサレ眼鏡


おまえのそれは自慰行為


おまえはそこでヲナっているのだ


けれども大人におれにはわかる


うちに帰ればコタツとテレビ


漫画プレステエロ動画


おれはいっさつの本を手にとって


欲望の渦巻くあの部屋から


逃れるようにここへきたのだ


希望と可能性に満ちた若者よ


優しいまなざしでおまえを眺めよう


きっとおまえもあらゆる欲望と決別し


そこに座っているのだろう


聖地

この広い広い世界のどこかには

自分だけの聖地があるらしい

理由はなくただなぜか心が安らぐ

そんな場所

 

おれはその場所をみつけたんだ

それはあなたと冷たい床のあいだ

 

そこに挟まるとなぜか心が落ち着くんだ

 

あなたの体重に血流が圧迫され

冷たい床に体温を奪われる

おれのくちびるパープルさ

 

そのなかでかすかに感じるあなたの温もり

おれはそのなかで眠りたい

 

安らぎに理由など必要ない

 

圧迫される快感と

こころに平穏を抱きながら

おれはそのなかで眠りたい

存在証明

足の爪の黒いやつ


おれはあなたにプレゼント


苦痛にゆがむ顔をみると


食べ切れないほどの幸福で


おれの胸はみちあふれる


これはひとつの存在証明


あなたのこころに臭いで残ろう


徹夜労働明けのワキを嗅ぐ


もちろん目線はななめ上


脱ぎたてホヤホヤの靴下を


半笑いでそっと鼻に近づける


確認したあとふふっと笑う


はかなく燃えるこの存在を


おれは臭いで証明しよう


たとえ存在が消えてしまっても


臭いは永遠の旅を続ける


京都愛

京都の大学生

いちいちオサレでイラっとするぜ

 

どこでみつけたそのリュック

どこから開けるのそのリュック

使いやすいのそのリュック

 

古い長屋が建ち並ぶ

景観そのまま町家カフェ

隙間風がイラっとするぜ

 

ストーブ焚いてくれるけど

おれの席まで届かねえ

 

尊敬や愛情は

真逆の感情をともないながら

ゆっくり完成へと近づいてゆく

 

このおれのイラつきは

京都愛への道の途中

 

天然パーマネント

だれの上にも陽は昇り

ふりそそぐひかりは温かい


平等に生は与えられ

やがて平等に死が訪れる


けれどもおれは天然パーマ

おれは神を信じない


ついたあだ名はかたやきそば

おれは神を憎む


パーマあてんでええから得やん

明日の天気わかるやん

そんななぐさめはもういらない


春が過ぎれば梅雨がくる

うねりまくってボリューム2倍


地獄の季節がやってくるのだ


ああ神様どうかどうか

梅雨をなくしてください


ウンチと孤独、そして光

ウンチを我慢するのが好きだ


焦りと快感が

お腹のなかに混在している

そんな感覚が好きだ


その感覚にひたるときには

無性に独りになりたくなる


部屋のすみで三角座り

しゃべりかけんなオーラを出して

おれは孤独と解りあう


けれども居心地の良い孤独というものは

けだるい麻薬のようなものだ

いつまでもここにはいられない


さあすべて出してしまおう

そしてしっかりケツを拭こう


まだお尻はひりひりするけれど

おれは濡れた手でドアをあける


光の下を歩いてゆこう



リップクリーム

またもやリップクリームは

おれのまえから姿を消した

まだ唇を五回転しかしていないのに

だけれどおれは知っている

人生という永い旅路をゆく

この歩みのそのどこかで

またふたたび出会えることを

それはまくらの下で

それはコタツの中で

そして喪服のポッケから

こんなところにおりはったん?

おれはそう語りかけるだろう

さようならまたね

おれのリップクリーム

また会えるその日がきたら

きっと使い切ると約束するよ