リップクリーム

またもやリップクリームは

おれのまえから姿を消した

まだ唇を五回転しかしていないのに

だけれどおれは知っている

人生という永い旅路をゆく

この歩みのそのどこかで

またふたたび出会えることを

それはまくらの下で

それはコタツの中で

そして喪服のポッケから

こんなところにおりはったん?

おれはそう語りかけるだろう

さようならまたね

おれのリップクリーム

また会えるその日がきたら

きっと使い切ると約束するよ